「建築リニューアル」——
それは、新しい時代の要請に応える手段。防災、安全・安心、省エネ・省資源、快適・健康、長寿命を目標に、建築ストックの再生・活用を通じて多様な効果を生み出し、新しいライフスタイルを創造する技術・技能の総称でもあります。
昨年3月に閣議決定した「住生活基本計画」には、注目すべきポイントとして既存住宅の流通、空き家の利活用促進などのほか、住宅ストックビジネスの活性化として既存住宅流通、リフォーム市場規模を倍増して2020年までに20兆円市場とすることが目標に掲げられております。
その着実な進捗は、国土交通省が市場規模と動向の把握を目的に実施する「建築物リフォーム・リニューアル調査」に明らかであります。直近の調査結果では2016年度、建築物リフォーム・リニューアル工事の受注高の合計は15 兆7,177 億円(前年度比31.6%増)、うち住宅関係の工事は、5 兆5,819
億円(同37.6%増)となった。さらに民間の調査では、不動産流通の業界団体の集計で同じ2016年度、中古住宅成約件数は過去最高を記録し、本年度(4月以降)に入っても対前年比でプラスのまま推移しております。
こうした市場動向が物語るのは、「脱新築」。消費マインドは明らかに、壊して造ることから、治して使うことへシフトしつつありますます、改修工事の施工技術に時代的責務がかけられる証明であります。
建物を構成する要素は多種にわたり、本書『建築リニューアル 成功事例集2018』では、鮮明なカラー写真と見やすいレイアウトで、工事の種別を問わず改修の前と後を紹介。ユーザー=施主によりよい居住生活を提供した成功事例の数々は、リフォーム&リニューアルのキーワード〈改修がもたらす新しいライフスタイル〉の生きた実例であり、そこからさらなる新しいライフスタイルが創造されることを期待しております。