2020年、紆余曲折を経た東京オリンピック・パラリンピックの開催年としても記録される年。建設業界はこれからの時代、いかにして収益を上げていくのか。答えは、あらかじめ用意されております。「リフォーム&リニューアル=建築再生」こそ目指すべき方向であることは明白です。建築サステナブル、低炭素、長寿命型社会――
様々なワードを介して語られてきたこの分野におきまして、わが国の将来を遠望すれば、一時の喧騒から本来あるべき道筋に軌道が修正されたに過ぎません。
都市部では居住形態の中心を占める集合住宅において、ストック戸数の増加は失速せず、平成30年度は国交省の集計で700万戸に迫り続けております。これを再生して未来価値の向上を目指す以外に、選ぶべき途はございません。
その一方で、課題は山積です。働き方改革関連法で定められる有給休暇義務や残業時間の上限、建設キャリアアップシステムの運用開始など、建築再生を直接担う専門工事業にとっては、経営や業務の遂行に負担のかかる施策をクリアしていかなければなりません。技術面に特化しても、今から約20年前に先を争うように建設の始まったタワーマンションが2022年頃には第1回の大規模修繕期を迎えると言われております。これまでのノウハウでは通用しない未知の領域に踏み込まなければなりません。2020年代は、次代への扉を開くことから始まります。
本書『建築リニューアル成功事例集2020』はこれからの10年、続々と成し遂げられるべき建築再生の言わばパイロット版としてお届けするものであります。表紙から中身までデザインを一新し、豊富なカラー写真と斬新なレイアウトによる、先端の工事事例から2020年代を見通しできる1冊です。