わが国の未来への扉を開くカギは何か。その重要な一つは、住宅のストック活用です。既存ストックの有効活用が着実に進むために、消費者が安心して適切なリフォームを行うことのできる市場の環境整備が前提にあり、消費者に対する周知は、今以上に進められなければなりません。
その動きは、もう顕在化しており、国土交通省と経済産業省は住宅リフォームを推進する民間団体のキャンペーンを後援する形で建築改修のメリットを周知すべく、全国各地で開催されるイベントなどを通じて一般消費者に働きかけております。
また、今年3月に閣議決定した「住生活基本計画」では、ポイントとして既存住宅の流通、空き家の利活用促進などのほか、住宅ストックビジネスの活性化として既存住宅流通、リフォーム市場規模を倍増して2020年までに20兆円市場とすることを目標に盛り込まれてます。
国土交通省総合政策局が実施している『建築物リフォーム・リニューアル調査報告』(平成28年4月公表)では平成27 年度上半期受注分は「共同住宅」ほか戸建住宅や非住宅など多くの用途別で軒並み前年を上回っています。
しかし一方では、住宅リフォームを推進する民間団体が公表した調査結果では平成26年9月からの1年間、リフォーム工事の契約金額は前年と比べて中・高額リフォームの割合が減少しております。こうした消費マインドの浮沈は、リフォーム&リニューアルの需要全体を見渡す指針として重く受け止めなければなりません。
「改修がもたらす新しいライフスタイル」―― 。
このキーワードのもとに、最新の改修事例という貴重な情報は需要層のすみずみにまで届けられなければなりません。そして、ものづくり立国である日本の優れた建材、工法、それらを万全の状態で消費者に提供する施工の力を積極的にアピールすることが非常に大事になります。本書の役割りは、まさにここにあります。
一覧性を重視したページ構成に加え、豊富な画像とカラーによる表現を使ったビフォア&アフターの劇的な差異、コンパクトにまとめた工事概要などでリフォーム&リニューアルの成功事例を紹介し、役立つ技術情報が満載。優れた建材、先進の施工技術による生きた具体例の中から、さらなる新しいライフスタイルが創造されることを期待しております。