社会生活を営む必須の条件であり、生活者にとってその取得が生涯の一大目標であった「住まい」。しかし住宅は現在、供給過剰となっています。民間シンクタンクの調べでは住宅の除却・減築などが進まない場合、2033年段階で空き家が2千万戸超へ倍増するとも指摘されております。
バブル経済の下で激しい流行現象をみたリゾートマンションでは一部地域でゴーストタウン化、維持管理や将来の建替えに不安な影を落としつつ、問題を先送りにしながら都市部では超高層化の波を伴って新築マンションの供給が止まりません。さらに、2020年開催の東京オリンピック・パラリンピックの開催に向けて、かつて謳われたコンセプト〝コンパクト五輪〟をよそに、膨張する予算と利潤追求の中で施設新設のムードが盛り上がりを見せております。
しかし、一方で政府の「新成長戦略」ではストック重視の住宅政策への転換を図ることとして、中古住宅流通市場・リフォーム市場の規模を20兆円まで倍増させるという目標が定められております。既存ストックの有効活用のための施策が粛々と進む前提には、消費者が安心して適切なリフォームを行える市場環境整備が必要不可欠。国土交通省と経済産業省は住宅リフォームを推進する民間団体のキャンペーンを後援する形で、一般消費者に建築改修のメリットを周知する動きも示しております。
本書は一覧性を重視したページ構成に加え、豊富な画像とカラーによる表現を使ったビフォア&アフターの劇的な差異、コンパクトにまとめた工事概要などで建築改修=リフォーム&リニューアル(R&R)の成功事例を紹介し、役立つ技術情報が満載。優れた建材、先進の施工技術による生きた具体例の中から<R&Rによる新しい価値の創造>が理解されるものと確信しております。