2050年カーボンニュートラルの実現が、大きな目標に掲げられ、実現に向け様々な動きが速度を増しています。東京都では、新築住宅への太陽光パネル設置の義務化へ本格的に動き出し、2025年4月の制度施行を目指しております。この帰趨が全国自治体に及ぼす影響は大きく住宅・建築物分野では脱炭素化に向けたロードマップが示されており、これを支える高性能な建材・住宅設備の供給が求められております。
多方、東京都内だけでも大規模再開発が進み、複合施設などの建設が連続しております。こうした動向が新築市場、さらには中古市場に波及することは容易に予想されます。
国土交通省の公表するところでは、2021年末時点のマンションストック総数は約685.9万戸。さらに令和2年の国勢調査に準拠して、このストックに国民の1割超が居住していると推計しています。新築供給戸数とストック戸数はますます開きが拡大しており、民間団体では2030年のマンションリフォーム市場規模全体を2020年の1.06倍と予想しております(REPCO=マンションリフォーム推進協議会)。大規模再開発に対照をなすように、リフォーム&リニューアル(R&R)の需要には巨大な潜在力が見込まれるところです。
膨大な棟数にのぼる超高層ビルの建設は、リフォーム& リニューアル(R&R)へ様々な力となって作用を及ぼし、何よりも、新設の超高層建物を優良なストックとするのは、R&R をおいて他にないからです。のみならず、既存のマンション再生にも次々と国の施策が打ち出されております。
建築改修が新局面を迎えたことは明らかで、本書ではR&Rの優れた事例を紹介しております。これら情報が共有され、「GX・DX 推進がひらく建築ストックの未来」へとつながることを期待しているところでございます。