2024年1月1日16時10分、能登半島地震が発生した。ここ10年以上、能登半島では地震が続いていた。人間の作った暦は、自然にとって意味がない。元旦に大地震が起こったことは偶然である。しかし、人間にとっては大きな意味があった。正月を家族で祝う、故郷で過ごす、一年の計をはかる、そうした特別な日に地震と津波が襲った。また、能登は日本海に突き出た半島で、交通の便が悪い。落ち武者の里があるほどだ。正月と地形、二つの要因で初動が遅れた。さらに救援、復旧の手の入り方も遅れた。また、震源となった活断層が海中にあり、精査研究が遅れていたことも不幸だった。そうしたことが重なり、能登半島地震はこれまでになく悲惨な災害といわれている。
NPO法人 耐震総合安全機構(JASO)は、2004年設立の耐震化支援の団体である。主に東京を中心として全国で、耐震アドバイザー派遣、耐震診断、補強計画等の活動を行っている。また、地震災害発生の際に現地被害調査を行い、報告書を出版している。これまでに2011年の東日本大震災、2016年の熊本地震の報告書を出した。
今回の地震でも、現地調査団を派遣した。また、地元に関係のある会員が個人として被災地に入った。協力会員の企業も施工実績を調査した。その結果をまとめたのが本書である。
地震災害が繰り返し襲う日本においても、災害の表れ方は異なる。阪神淡路大震災の直下活断層による強烈な揺れと火災、東日本大震災の津波、熊本地震のマンション被災等である。本書はそうした震災被害固有の有り様を記録として残すことを第一の目的にしている。被災した建物はやがて撤去され、跡形もなくなる。しかし破壊された建物には多くの貴重な教訓が残されている。それを記録する。さらに、被害の要因や対策を考えるのが本書の目的である。
著 者:NPO法人 耐震総合安全機構(JASO)
版 型:A4版・カラー
頁 数:200頁
発行日:2025年1月
ISBN:978-4-903476-88-9
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